猛暑が続く八月。その六日。
コンクリートジャングルの東京は、外出する気分になる場所ではなかった。だからなのか、不精な中出知男は、今日も、朝十時を過ぎたにも関わらず、ウィークリーマンションの一室で、冷房を効かせるだけ効かせながら、万年床ならぬ万年ベッドでごろ寝していた。風量少なく、室温だけ下げて、二十一度にしていた。Tシャツとトランクス姿で、寝そべって、スマホを耳に当てながら、A4ノートパソコンでネットサーフィンしていると、ハンガリー舞曲第五番が鳴った。
「おはようございます、ルミです」
少し乱れた息が、スマホごしに聞こえてきた。
「おはようございます、いい声ですね」
ルミの、やや低音でクリアな声は、余計に中出をそそった。
「あなたのせいです」
「いやあ、メールの指図どおり、今日も裸で、エアコン切って、正座してくれてるんですね。嬉しいです」
「ひどい・・・」
ルミは、前日にメールで送られた、中出の指図通り、全裸で正座姿で、姿見の前に座っていた。朝の九時から数えて一時間、その姿でいた。ただ、慣れてきたのか、彼女は、しびれをあまり感じていなかった。しかし、全身は、淫らな汗がいっぱい噴き出ていた。特に、乳首から垂れる汗は、お乳みたいで、鏡越しに、見たところで、彼女自身、恥ずかしかった。
「エアコン入れたいけど、あなたが入れるなと言うから、朝九時からずっと切ってます・・・」
「その方が、ルミさんにはお似合いだよ」
「そんな・・・裸で、いやらしい汗を垂らすのがいいって言うんですか?」
「その通り」
「ひどい・・・」
クリアな声で嘆くルミに、中出は劣情そそられる。
「でも、茶色い乳首立たせてるんでしょ?」
「言わないでください」
ちゅうちゅうちゅう・・・
中出は、淫らな音を鳴らした。
「ああっ、だめっ」
しかし中出は止めない。淫らな吸引音を立て続ける。やがてルミは喘ぎ始める。そして、
「もっと・・・すって・・・」
と言い出す始末。とは言っても、一時間も全裸で正座させていると、「出来上がって」しまうのか、程なくルミはイッて、のけ反ったあとで、前に崩れた。
「ところで、チョーカーとブレスレットとアンクレットは、つけてるよね?」
はい、とルミが答えたところで、
「つけました」
「どう?その姿」
「恥ずかしいですっ。今日は、この格好で、行くんですか?」
「いいえ、もう一つ着けてほしいものが」
「何ですか?」
「チェインベルトを、腰に巻いて」
「は、はい・・・お待ちください」
再びルミは鏡の前を離れて、ドレッサーの引き出しを漁ってから、言われたものを取り出した。そして、また正座してから、程よくくびれたウエストに巻いた。
「巻きました」
そう報告した彼女に、
「立ってね」
言われるまま鏡の前で立ったルミは、その姿に、
「恥ずかしい、高級娼婦みたい」
「いい眺めですね」
「そんな・・・」
ぴん、ぴん。
「あうう・・・」
ルミは背中をのけ反らせて、汗を飛び散らせながら、乱れる。
「だめぇ・・・」
「ルミさん、お似合いだよ」
「ひどい・・・」
「どう?乳首のたち具合」
「カチカチですぅ」
「吸ってほしい?」
「すってください・・・」
それで、いやらしい吸引音をけたたましく、響かせた。
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