桜の並木道に薄紅の光が揺れる。 ふたりの影が近づき、微かに触れる指先に息が詰まる。 言葉も名前も消えた静寂の中、肌の距離だけが震え、花びらの落ちる音さえ遅く感じられる。 見えないものに意識が吸い込まれ、春の匂いと熱が交錯する──まだ触れぬその瞬間に、時間は静かに溶けていく。
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