「ねちっこいエッチがしたいのっ」
彼女は完全に私を求めていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〜数時間前〜
駅の方へ向かう帰宅途中の女子。女友達と2人で飲んでいたが、友人の彼氏が突然来たせいで友人は早めに彼氏と2人で帰宅してしまったらしい。
「偶然!実は俺も一緒なんだよ。」共感。
「お互いこんな日もあるよね…まだ飲み足りなくない?よかったらちょっと軽く一杯飲みにでも行こう。美味しいスパニッシュ&オイスターバーを最近教えて貰ったんだよね。」
一瞬抵抗があったが、自信満々の笑みと押しで連れ出し。歩きながら、お互いのことを話す。向こうからの質問がやたら多い。
「あなた、何者なの?」「ねぇ、これってナンパなの?」
リアルを織り交ぜつつ、様子を伺いながらファジーな返答を積み重ねる。彼氏何人いるのルーティーンからの恋愛遍歴引き出しルーティーン。向こうの理想像を模索しながら会話を進めていく。今までに付き合った人数は4人。元彼とは遠距離になり3月に別れてしまったらしい。某外資系化粧品メーカーの美容部員、黒髪のロングヘアをアップスタイルでまとめあげ、はっきりとした目鼻立ちのせいか、アイメイクがとても際立っていた。そうこうしている内に、バーに到着。
「リモンチェッロを二つ。それと牡蠣のセットでお願いします。」
彼女の大体の好みは歩いている中で把握したつもりだった。
「美味しい!!」
彼女から笑みがこぼれた。反応は上々。会話のテンポや、タバコに火をつけるタイミングも、どことなくマイペースだ。私は違和感を覚えた。彼女は不思議ちゃんだった。得意なタイプとは正直言えなかった。果たして攻略できるのか?このとき、あるミス◯ルの歌詞の一節が頭に浮かんだ。
「高ければ高い壁の方が、登ったとき気持ちいいもんな—。」
そうだ。その通りだ。私は気合いを入れるためにトイレにたった。鏡を見て自分の表情を確かめ、精神を集中する。何百回と同じことを繰り返してきたんだ。大丈夫だ、負ける要素はない。そう自分の心に言い聞かせた。一抹の不安な心理が、ネガティブな方向へことを進めることになる。女性の勘と洞察力は男性が持っているそれの比ではない。魅力的な男性を演じきるのだ。
席に戻ると、わずかに酔っているような表情の彼女がそこにはいた。またトークを再開する。溢れ出てくる話のネタ。彼女とともに、私も笑った。独特の価値観を持つ彼女の思考は、純粋に私の興味を引いた。
彼女の自宅までの終電の時間は、彼女の使う路線から頭の中に入っていた。24時10分にはここを出ないとそれには間に合わなかった。左腕の時計をテーブルの下でちらりと見た。現在、24時20分。勝ちを確信した瞬間だった。
「そろそろ出よう!」
そういって席を立った。会計を済ませ、店を出る。ホテルはすぐそばだ。
ホテルについてすぐ、彼女は告白してきた
「ねちっこいエッチがしたいのっ」
私のアレがドクっドクっと、音を立てて脈を打つのが分かった。
これからどうしてやろうか。
Reviews (0)